教育委員会バス、砂川のアンダーパスに挑み、敗れる──高さ2.8メートルの罠

2017年8月5日、午後6時半。気温がまだじんわりと暑さを残す夏の夕暮れ時、砂川市内が一瞬ざわついた。現場は市中心部のJR砂川駅から札幌方向へ約200メートル。函館本線の高架をくぐる、通称“アンダーパス”。高さ制限は2.8メートル。地元では知られた、気をつけるべきスポットだ。

そこに頭から突っ込んだのは、砂川市外の教育委員会が運行するマイクロバス。見事に高さ制限に引っかかり、屋根の後部がガリガリと削られた。まるで缶詰の蓋のように、後部ルーフがめくれ上がったまま、バスはその場でストップ。通行不能。

現場に駆けつけたのは、砂川警察署の制服警官と刑事たち。私服刑事は例によって、黒シャツにカーゴパンツ、ボディバッグという“あの”出で立ち。テレビでおなじみ、警察24時に出てくる典型的スタイル。おそらく全部ホーマックとジーベックで揃うやつで、総額は1万円いかない。

車両の誘導を担当したのは、砂川署の「砂川11」。いまだに200系クラウン。未だ更新されぬこの哀愁。レガシィ滝川署の隣で、砂川署は旧型を粘り強く使い続ける。

刑事の誘導のもと、バスはゆっくりと後退し、アンダーパスからの脱出に成功。幸い、自走可能な状態で、乗員乗客にもけが人はいなかった。不幸中の幸いである。

このアンダーパス、通れるのはほぼ1台分の車幅。運転手同士は減速し、パッシングで意思疎通しながら譲り合って通行するのが暗黙の了解。しかし中には、意思疎通どころか存在自体が意思不明な運転者もいる場所でもある。

筆者も思い出す。18歳の頃、某ラブホテルの出入口で、トールワゴンのリアスポイラーをひっかけてゴリゴリとやらかした。あのときは「名誉の負傷」と言い張ってしばらく修理しなかったが、あれを公道で、しかも教育委員会の公用車でやってしまうと話は別だ。

だからこそ、うっかりの代償は大きい。ラブホテルであれ、教育委員会であれ、スケベ心や慢心が鉄骨の洗礼を受ける理由に変わりはない。

写真提供・名無しちゃん様